「FIREって本当に実現できるの?」
ネットや本で見かける成功例はキラキラして見えるけれど、実際の生活はどうだったのか…。
この記事では、40代半ばでFIREを達成した方へのインタビューを通じて、日々の生活、実践していた節約術や投資法、そして思わぬ失敗や葛藤までリアルに掘り下げてご紹介します。
これからFIREを目指すあなたにとって、きっとヒントや安心材料が見つかるはずです。
インタビュー対象者のプロフィール|どんな人がFIREを達成したのか?
今回インタビューさせていただいたのは、FIREを達成した鈴木健太さん(仮名・48歳)。
実は筆者が九州に住んでいたときのゴルフ友達です。
45歳で経済的自立を実現し、現在は九州のK市に移住して自由な生活を送っています。

健太さんは、30代後半から「会社に縛られない生き方」を考えはじめ、40代でFIREを本格的に意識。
地道な節約とインデックス投資、副業による収入源の確保を重ね、45歳のときにサイドFIREを実現されました。
現在は、自然豊かな地方で生活費を抑えながら、週末にはゴルフを楽しみ、週に数日のリモートワークを続けるスタイルで、自由な暮らしを送っています。
そんな健太さんに、FIRE達成までの道のりやその後のリアルな生活、そして意外な失敗談まで、じっくりお話を伺いました。
FIREまでのロードマップ|生活費・投資・働き方はどうしてた?
45歳でFIREを達成した健太さんは、決して高収入の職業についていたわけではありません。
大阪の中小IT企業で20年以上勤めながら、「支出を抑えつつ、お金に働いてもらう仕組みづくり」を徹底したことがFIRE達成につながりました。
生活費の見直しが“第一歩”だった
30代の終わりごろ、健太さんは毎月の固定費の高さに不安を感じたことがFIREを意識するきっかけになったと言います。

家賃・保険・通信費……毎月20万円以上が“消えていく”生活に、このままで大丈夫か?と疑問を持ち始めました。そこから家計簿アプリで徹底的に管理を始めました
特に意識していたのは次の3点ーー
- スマホを格安SIMに変更(年間5万円の節約)
- 外食の回数を減らし、自炊メインに
- 保険を見直し、掛け捨て+必要最低限に
結果として、月の生活費は約23万円 → 18万円台まで削減。
この差額をそのまま投資資金や副業資金に回したことが、FIRE実現への加速につながりました。
投資は「米国株ETF+つみたてNISA」の王道スタイル
健太さんは、投資を「増やすため」というより「働かなくてもお金が入る状態を作るため」に活用していたと言います。
- 米国ETF(VTI・HDV)を定期的に買い増し
- つみたてNISA(旧NISA)で毎月33,333円をインデックスファンドへ
- 配当金は再投資 or 生活費の一部に充当
最初は米国ETFから始めて、2018年からつみたてNISAがスタートしたため、つみたてNISAにも追加投資しました。
サイドFIREを決めたときには運用資産が2,000万円を超え、そこからはよりディフェンシブな運用+副業収入の安定化にシフトしたそうです。
副業収入で“週3の働き方”を模索
FIREを目指す中で、健太さんが最も意識していたのが「収入の多様化」です。
FIRE前から取り組んでいたのはーー
- ブログ運営:40代で開設。月5〜8万円のアフィリエイト収入を確保
- クラウドワークス:WEBライターを週2稼働
これらの収入が、FIRE後も「完全な無収入状態にならない」ための安心材料となり、K市への移住を決断できた大きな要因になったと語っています。
FIRE生活のリアル|自由と不安のバランスとは?


45歳でFIREを達成した健太さんは、現在、K市のゆったりした町でのんびりとした生活を送っています。週末にはゴルフを楽しむ余裕もあるくらいです。
生活費は以前の都市部暮らしに比べて大きく下がり、時間にも余裕が生まれました。しかし、実際にFIREをしてみて感じたのは、「自由=完全な幸せ」とは限らないということだったそうです。
FIRE生活の1日スケジュール
健太さんの普段の1日は、以下のような流れです。
- 6:30 起床・散歩・読書
- 8:00 朝食・軽い副業作業(クラウドワークスやブログ)
- 11:30 昼食・家庭菜園の手入れ
- 13:00 自由時間(映画鑑賞・日帰り温泉・DIY)
- 16:00 副業のチェック・メール返信など
- 18:00 夕食・のんびり就寝準備
「時間に追われない日常は、本当に心が豊かになります」と語る健太さん。
一方で、「自由が増えるほど、自分と向き合う時間も増えた」と話します。
“不安”がゼロになるわけではない
FIRE後の暮らしには満足しているものの、予想外の不安もあったと健太さんは打ち明けます。



毎日が休みになると、何もしない自分に罪悪感を持ってしまうこともあります。
資産が減っていくプレッシャーも想像以上でした。
FIRE直後は、「もう働かなくていいんだ!」という開放感に満ちていたそうですが、数ヶ月たつと
「本当にこれで良かったのか?」「この資産で一生やっていけるのか?」と漠然とした不安が芽生えたと言います。
不安との付き合い方もFIREのスキル
こうした不安に対し、健太さんが実践しているのは「働きすぎず、ゼロにも戻らない」サイドFIREの発想です。
副業収入があることで、完全な無収入状態にはならず、精神的にも大きな安心感が得られるとのこと。



FIREのゴールは”何もしないこと”じゃなくて、”やりたいことをやる自由”だと思っています。
収入のためではなく、自分の好奇心やペースで働ける環境は、FIRE後の“生活の質”を大きく左右すると健太さんは強調します。
うまくいかなかったこと・後悔したこと
FIREというと「成功者のストーリー」として語られがちですが、健太さんは「もっと早く知っていれば……」と感じたことや、実際に失敗・後悔した経験も率直に教えてくれました。
後悔1:住宅ローンを早く組みすぎた
健太さんは30代半ばに大阪で分譲マンションを購入。
これがFIREを意識し始めた後に「資金繰りの重荷」となりました。



当時は“家賃を払うより得だろう”という考えでローンを組みましたが、FIREを目指すなら固定資産を持つリスクも考えるべきでした。
最終的には売却し、地方移住資金の足しになりましたが、維持費や税金、売却時の手数料も想定以上だったとのこと。
後悔2:40代前半まで「副業=怪しい」と思っていた
FIREに向けて副業を始めたのは、40代に入ってから。
それまでは「副業なんて器用な人がやるもの」と感じていたそうです。
しかし、いざ始めてみるとーー
- 最初は時給換算で数百円でも、継続で成果が出る
- 時間の自由度が高く、本業との両立も可能だった
- 収入源が増えるだけでなく、FIRE後の「やること」にもなる
といった多くの気づきと実益があったとのこと。



もっと早く始めていれば、FIREの準備も心の余裕も違っていたと思います。
失敗談:退職のタイミングと家族の温度差
退職を決めたとき、最も大きな壁は「家族との価値観の違い」でした。
子どもがいなかったし、奥さんも働いていたので、それほど大きな反対ではなかったようですが、それでも奥さんもかなり不安だったようです。
- 「なぜあえて会社を辞めるのか」
- 「この先、年金や生活費はどうするのか」
といった不安やズレが生まれ、数ヶ月は話し合いが続いたそうです。



「FIREしたい気持ち」と、「妻とも仲良く暮らしたい気持ち」の間で葛藤しました。
結果的に、副業の収入やライフプランを一緒に可視化したことで、理解を得られましたが…感情的なもつれは簡単じゃなかったです。
FIREは個人の決断であると同時に、家族単位のライフシフトでもある。
健太さんの話からは、そんな現実的な視点が伝わってきます。
これからFIREを目指す人へのアドバイス


45歳でFIREを達成し、現在は地方都市のK市で自由な暮らしを送っている健太さん。
そんな健太さんに、これからFIREを目指す人に伝えたいことを伺いました。
アドバイス1:収入よりも「支出の管理」が先
健太さんが最も強調していたのは、「どれだけ稼ぐか」よりも「どれだけ使わずに暮らせるか」の重要性です。



年収が高くても、支出が多ければFIREは遠のきます。
まずはスマホ料金や保険、サブスクなど“見直しやすい出費”から減らすだけでも効果的です。
家計を整えることで、FIREの土台となる「貯蓄率」が劇的に変わります。
アドバイス2:「副業=セーフティネット」と考える
副業を始めたのはFIREの数年前ですが、今では「やっておいて本当に良かった」と実感しているそうです。
- 少額でも収入源が複数あると心理的に安心
- FIRE後に“完全にゼロ収入”にならずに済む
- 自分のスキルや強みを見つける機会になる
健太さんのようにブログ・クラウドワークスなど、スモールスタートでも継続すればFIREの武器になると語っています。
アドバイス3:FIREは「完璧な目標」じゃなくていい
「FIRE=もう二度と働かない」というイメージを持っている人も多いですが、健太さんは「サイドFIREという選択肢」があったからこそ実現できたといいます。



働くか・働かないか、白黒つける必要はないと思います。
「生活の半分は自由時間、半分はゆるく働く」でも十分幸せです。
FIREの形は人それぞれ。
自分に合った「心地よい暮らし」を探すことが何より大切だと話してくれました。
まとめ|FIREは遠くても、毎日の選択が近づけてくれる
今回お話を伺った鈴木健太さん(仮名・48歳)は、会社員時代から地道に生活を見直し、収入と支出のバランスを整え、副業や投資に挑戦しながら、45歳でFIREという目標を実現しました。
しかし、その道のりは決して順風満帆ではなく、住宅ローンの重荷、家族との温度差、不安との葛藤といったリアルな壁にもぶつかっています。
それでも健太さんは、「完璧じゃなくても、自分に合った暮らしを選び続けること」がFIREにつながると語ってくれました。
FIREを目指す道のりに正解はありません。
支出を見直す、副業を始めてみる、毎月少しずつ積み立てる――そんな小さな選択の積み重ねこそが、自由に近づく第一歩になるのです。
あなたも今日から、自分にとっての「心地よい生活」への準備をはじめてみませんか?