「毎年なんとなく更新している自動車保険、本当にそのままでいいの?」
そんな疑問を持ったことがあるなら、今こそ見直しのタイミングです。
自動車保険は補償内容が多く、つい「念のため…」であれこれ加入してしまいがち。 でも実は、最低限の補償に絞ってネット型に切り替えるだけで、年間2〜5万円以上節約できるケースもあります。
この記事では、自賠責と任意保険の違いから、不要な補償・特約の整理方法、ネット型保険の選び方まで徹底解説。
ムダを削っても安心はキープできる、自動車保険の最適化術をわかりやすく紹介します。
なぜ自動車保険の見直しが必要なのか?|放置すれば固定費が増え続ける

自動車保険は毎年自動更新される人がほとんどで、「前年と同じ内容でいいや」と思ってしまいがちです。
しかし、補償の中身や保険料は、ライフスタイルや年齢、車の使用状況によって適切な内容が大きく変わるもの。
不要な補償をつけたまま→“ムダ金”に
特に多いのが、車両保険や搭乗者傷害保険など、実は使わなくても問題ない補償をそのまま継続しているケース。
これだけで年間2万円以上多く支払っていることも少なくありません。
保険料は毎年上がる可能性も
近年は物価上昇・修理費高騰などの影響で、任意保険のベース料率も徐々に上がっている傾向があります。
補償内容を見直さず放置すると、気づかないうちに固定費が右肩上がりに。
「代理店で契約=安心」とは限らない
昔ながらの代理店型保険も安心感はありますが、中身はオーバースペックだったり、料金が割高だったりすることも。
ネット型保険でも十分な補償を受けられ、しかもコストは半額近くになる場合もあります。
つまり、自動車保険は“見直せば確実にお金が浮く”可能性が高い支出なのです。
次のパートでは、まず基本である自賠責と任意保険の違いから整理していきましょう。
自賠責と任意保険の違いとは?|知らないとムダが増える基本知識
自動車保険には大きく分けて「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険」の2種類があります。
両者の違いを理解していないと、「任意保険でムダな補償を重ねてしまう」「保険料を払いすぎる」原因にもなります。
自賠責保険とは?|すべての車に加入義務あり
- 法律で加入が義務づけられている強制保険
- 補償の対象は“他人のケガ・死亡”のみ(相手への対人補償)
- 補償上限はあり、重大事故ではまったく足りない
- 自分のケガや車の損害はカバーされない
つまり、自賠責だけでは重大事故に対して圧倒的に補償が足りないのです。
<自賠責(自動車損賠賠償責任保険)の補償範囲>
事故の相手が死亡したら3,000万円、後遺障害の場合は4,000万円までの補償があるのですが、死亡したり後遺障害が残るような大きな事故の場合だと、まったく足りないと考えておいた方がいいでしょう。
また傷害でも120万まで補償されますが、交通事故は医療機関が自由診療扱いにすることがほとんどなので、我々が普段使用する健康保険を使った治療費よりもかなり高額になります。休業損害や慰謝料なども含めると、120万の限度額もあっさりと超えてしまします。
補償対象 | 補償内容・範囲 | 支払限度額(被害者1人につき) |
---|---|---|
傷害 | 治療関係費(診察料、手術料、投薬料、入院料など)、看護料、諸雑費、通院交通費、義肢等の費用、文書料、休業損害、慰謝料 | 120万円 |
後遺障害 | 逸失利益、慰謝料等(後遺障害等級により異なる) | 75万円~4,000万円(等級により異なる) |
死亡 | 葬儀費、逸失利益、慰謝料 | 3,000万円 |
任意保険とは?|自賠責で足りない分を補う“安心の保険”
- 対人・対物補償を無制限にできる(ここが最大のメリット)
- 自分や同乗者のケガへの補償も追加できる
- 車両保険など、車そのものの損害にも対応可能
任意保険は自由に加入・設計できる反面、内容が複雑でムダが入りやすいのが難点です。
「念のため…」で車両保険や各種特約を追加していくと、本来必要な金額の倍以上の保険料を払っているケースも。
次のパートでは、その中でも基本中の基本、「対人・対物さえ入っていれば十分」と言われる理由を解説していきます。
任意保険は「対人・対物」さえ入っていれば十分な理由
任意保険の補償項目は多岐にわたりますが、基本的かつ最も重要なのは「対人・対物補償」です。
結論から言えば、この2つに無制限で加入しておけば、ほとんどの重大事故リスクに対応可能です。
対人・対物補償が「無制限」なら安心
- 対人補償:交通事故で相手にケガを負わせたり、死亡させてしまった場合に備える
- 対物補償:相手の車や物(ガードレール・店舗など)を壊してしまった場合の補償
人や物に損害を与えた場合、1事故で数千万円〜億単位の賠償請求になるケースも珍しくないため、「無制限」で入るのが必須です。
これは事故の被害者(本人や家族)をしっかり補償して、せめて金銭面では安心してもらう必要があるということが一つと、もう一つは加害者が破産しないためにも必要ということから必須だと思います。
そもそもなぜ保険に入るのか、ということを理解しておいた方がいいのですが、破産するような大きなリスクに対して入るべきなのです。
また対人・対物の保険金額を1億にしても、無制限にしても、保険料はあまり変わりません。
そういう意味では、対人・対物は無制限をつけておくことは検討の余地がなく、一方対人・対物以外は検討の余地がある、というわけです。
その他の補償は“生活スタイルに応じて検討”でOK
たとえば車両保険や各種特約は、入っていれば安心ですが、必須ではありません。
むしろ多くの人が「いらない補償」まで抱えていて、保険料のムダになっていることも多いのです。
「リスクに備える」の本質を見失わない
任意保険で重要なのは、「もしものときに自分が破産しないこと」。
対人・対物の補償こそがその“破産回避”のための核です。
これさえカバーしておけば、事故の大半に対応でき、あとは自己負担でも十分対応可能なケースが多いのです。
次のパートでは、その代表格である「車両保険」は本当に必要か?について、もう一歩踏み込んで解説します。

車両保険は本当に必要?|補償より“自己積立”のほうが合理的

自動車保険を見直す際に最も節約効果が大きいのが「車両保険」です。
しかし、車両保険を外すことに不安を感じる人も多いはず。ここでは、車両保険の役割と、入らないという選択が合理的である理由を解説します。
車両保険とは?|自分の車の修理費を補償
- 事故・いたずら・台風・盗難などによる自車の損害をカバー
- 補償範囲が広いぶん、保険料が高額になりやすい
- 等級によっては、1回使うと翌年以降の保険料が大幅に上がることも
つまり、高い保険料を払っても、これまでに払った車両保険の保険料と、等級が下がることによって上がった保険料のことを考えると、「使ったら逆に損」になるケースが少なくないのが車両保険です。
実際の事故でどれくらい費用がかかる?
軽微な事故(バンパー・ドアのへこみなど)の修理費は、2万〜10万円程度で済むことが多く、
毎年2〜3万円の車両保険を5年払えば、10万円以上貯まる=自己修理が可能な金額になります。
ローンなし&中古車なら不要なケースが大半
特に、
- 中古車や低年式の車に乗っている
- 車両価格がすでに低く、補償金額も少ない
- ローンが残っていない
という条件なら、わざわざ保険で守るほどの価値があるとは言えません。
保険に入る意味が、破産しないため、ということをもう一度考えてみると分かると思います。
あなたの車を修理するのに破産するほどではないなら、車両保険は不要でしょう。
車両保険の代わりに「修理積立」を
「毎年3万円を保険に払うくらいなら、その分を“万が一用の積立”にまわす」というのも賢い選択肢です。
事故リスクは年に1度もないのが一般的ですから、支出効率としては自己積立の方が高くなることも珍しくありません。年齢や地域、使用頻度によっても変わるため、明確なデータはありませんが、一般的には事故の発生率は1%未満と言われています。
もしあなたがこれまで何回も事故を起こしているなら、保険で安心するのではなく、安全運転を心がけることを優先すべきです。そうすれば、保険料の節約や株式への投資などよりもよっぽど効果があるでしょう。
次のパートでは、似たような「重複・不要になりがちな補償」である、人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いについて解説します。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違い|なぜ搭傷保険は不要なのか?

任意保険に加入する際、よく見かけるのが「人身傷害保険」と「搭乗者傷害保険」という2つの補償。
どちらも「事故でケガをしたときの補償」で、代理店からは両方入っておくことを勧められると思いますが、内容や仕組みは大きく異なります。
人身傷害保険とは?|実際にかかった損害を補償
- 運転者・同乗者が事故でケガをした場合に実費(治療費・休業損害など)を補償
- 過失割合に関係なく、自分の保険で自分を守れる
- 補償範囲が広く、現代の自動車保険ではほぼ必須レベル
- ただし、家族(※)を乗せることがなく、生命保険で自身の怪我の補償がある場合は検討の余地あり
※父母・配偶者・子以外であれば、同乗者でも「対人保険」の対象になります。
搭乗者傷害保険とは?|定額払いの“お見舞い金”的存在
- 事故でケガをした場合、あらかじめ決まった金額(例:入院1日5,000円)を受け取れる
- 支給額は実際の損害額とは無関係
- 他の保険と補償が重複することが多い
なぜ搭乗者傷害保険はいらないのか?
結論として、人身傷害保険があれば十分だからです。
搭乗者傷害はあくまで“おまけ的”な補償であり、人身傷害と重複して保険料だけがかさむケースが大半。
実費でかかった費用以外に、通院・入院したら別で支払われるため、得した気分になるかもしれませんが、そもそも事故をして得しようと思うことがナンセンスです。
また最近では、特にネット型保険では初期設定で搭乗者傷害が付いていないプランも増えています。
重複する保険=固定費のムダ
「似たような補償が2つある場合、どちらかを外す」という視点は、保険見直しの基本です。
とくに補償内容が理解しづらい搭乗者傷害は、外しても問題ない人がほとんどです。
次のパートでは、保険の入り方そのものに目を向け、代理店とネット型の違いと選び方を解説していきます。
代理店 vs ネット型|どちらを選ぶべきか?

自動車保険を契約するとき、多くの人が選ぶのが「代理店型」か「ネット型(ダイレクト型)」かという2つの方式です。
多少のメリット・デメリットはありますが、ちょっとの知識さえあればネット型が圧倒的に有利です。
代理店型|サポートは手厚いが、割高になりやすい
- 店舗や営業担当を通じて契約
- 対面相談が可能で、保険が苦手な人でも安心
- その分人件費や店舗費が保険料に上乗せされる
「担当者に任せたい」「高齢の親の契約」など、手厚いサポートが必要な場合には有効ですが、代理店手数料が発生することもあり、保険料は割高になります。
ネット型(ダイレクト型)|コスト重視ならこちら一択
- ネット上で自分で契約・更新ができる
- 補償内容もカスタマイズできて非常に安い
- 対応や見積もりが早く、24時間受付のサービスも多数
不安なときは、電話やチャットサポートもあり、「自己解決力」がある人には最適です。代理店手数料もカットできるため、経済的です。
事故があったときのサポートに差はある?
保険というのは、お金を払ってもすぐに満足か不満足かを判断できるものではありません。事故を起こして、保険金を請求する際にはじめて分かるものです。
安い保険に入っていると、事故を起こしたときもちゃんと対応してくれないんじゃないだろうか。
ネット型の保険の話をする際によく出てくる心配ですが、保険会社の対応は、代理店型もネット型も同じです。
代理店型の大きな保険会社だと、24時間対応してくれると思っている人も多いですが、24時間対応しているのは、電話がつながって、保険請求の受付をするだけで、事故対応は基本的には平日日中になります。
そういう意味では、ネット型であっても、ほとんどの損保会社で24時間受付は可能です。
事故サポートに差があるとすれば、代理店の対応になります。
前項で「自己解決力」がある人にはネット型がいいと説明しましたが、何も特別な知識や経験が必要なわけではありません。
例えばよくあるのが、生命保険の担当が損害保険も対応しているので、一緒に入っているパターンだと、事故を起こして電話をしても、代理店が代わりにコールセンターに電話するくらいしかできません。コールセンターに電話するくらいなら、誰でもできます。
中には夜間も休日も関係なく、お客さまから事故の電話があれば、現場に急行したり、対応のアドバイスをしたり、頼りになるプロ代理店もいます。本来は契約時だけでなく、事故発生時もサポートをするから、高い代理店手数料が加味されているのですが、残念ながら、手数料に見合う仕事をしてくれる代理店は少ないでしょう。
事故を起こしてしまったらーー
- けが人の救護(安全な場所に移動したり、救急車を呼ぶ)
- 警察へ連絡
- 相手側と連絡先の交換
- 保険会社へ連絡(コールセンタでOK)
事故当日にすぐやらないといけいないのは、これくらいです。
保険会社へ連絡すれば、後の対応も教えてくれます。
代理店がいなくてもできますよね。
つまり、ほんの少しの知識さえあれば、ネット型でもまったく困ることはないのです。
保険料の差は年間2〜3万円以上も
同じ補償内容でも、代理店型とネット型では年間2〜3万円以上差が出ることも珍しくありません。
これは代理店が介入しないことで削減される手数料の差額です。
筆者は会社員時代、勤務先の団体割引が使って安くなっていたのですが、会社を辞めて、ネット型に変更したら、1万円以上安くなりました。いくら団体割引があったとしてもネット型の方が断然安いです。
見直し=ネット型に切り替えるだけで大きな効果があると言えるでしょう。
次のパートでは、これまでの見直し項目を総まとめし、どれだけ節約できるのかの試算を行っていきます。
見直すだけでいくら節約できる?平均相場から試算してみよう

ここまで紹介してきた見直しポイントを実践することで、どれくらいの節約効果があるのか? 実際の金額ベースで試算してみましょう。
① 代理店型 → ネット型への切り替え
年間保険料:約5万円 → 約3万円
→ 年間2万円の節約
② 車両保険を外す
年間保険料:約2万〜3万円分の削減
→ 車両保険は“使いにくい”補償の代表格
③ 搭乗者傷害保険などの不要特約をカット
特約費用:数千円〜1万円前後
→ 人身傷害保険があればカバーできる
合計試算|年間の節約額は?
見直し項目 | 節約額の目安 |
---|---|
ネット型への切り替え | 約20,000円 |
車両保険を外す | 約20,000〜30,000円 |
不要な特約のカット | 約5,000〜10,000円 |
合計で年間約3万〜6万円の節約が期待できます。
ちなみにですが、日常生活における賠償責任が発生したときに対応できる保険が「個人賠償責任保険」なんですが、これは自動車保険の特約でつけるのがお得(安く)です。
例えば、自転車で相手を怪我させてしまったとか、飼い犬が他人に噛みついてしまったとか、買い物をしていて店の商品を壊してしまったとか、そんな第三者への賠償を補償してくれます。
自転車保険とか、ゴルファー保険とか、いろんな名前があるので、重複していることもあるので、確認してみましょう。
5年スパンで見ると?
この見直しによって、年間3万〜6万円の差になる可能性も。
もし年間3万円の削減になったとしたら、FIRE達成の時期が6ヶ月以上早くなります。(月間約10万円の貯蓄をしている場合)
浮いた3万円を投資に回すことで、さらに早くなる可能性もあります。
これはまさに“保険に入りすぎている”ことで失われていたお金です。
最終パートでは、自動車保険の見直しを通して、どのように家計と安心を両立できるかをまとめていきます。
まとめ|自動車保険は「削っていい保険」の代表格
自動車保険は、毎年なんとなく更新している人が多い分、見直すだけで大きな節約につながる支出です。
しかも、削るのは「安心」ではなく「ムダな補償」。
見直しのポイントは次のとおりです。
- 対人・対物は無制限でしっかり備える
- 車両保険や搭乗者傷害保険は、ライフスタイルに応じて不要ならカット
- ネット型保険に切り替えるだけで、保険料は年間数万円ダウン
結果として、安心感はそのままに、保険料だけを下げることが可能になります。
「保険で得しよう」と思わないことが節約の第一歩
保険は破産しないための“万が一”のための備えです。
「使わなきゃ損」「せっかくだから手厚く」が無意識にムダを生みます。
本当に必要なリスクにだけ備えるという考え方が、保険見直しの基本です。
まずは見積もりからでもOK
ネット型保険は5分ほどで複数社の見積もりが取れます。
いきなり契約変更しなくても、「今の保険が高いかどうか」知るだけでも価値があります。
ぜひ一度、自動車保険の見直しに取り組んでみてください。ムダな固定費を削って、自由に使えるお金を増やしましょう。
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