「FIREを目指したいけど、いったいいくら貯めればいいの?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
FIRE(経済的自立・早期リタイア)を現実の目標にするには、まず「必要な金額=目標資産額」を明確にすることが最初のステップです。
ただし、目標金額は年齢や生活スタイル、FIREの種類によって人それぞれ異なります。
なんとなく「1億円」などと決めてしまうと、無理な節約や投資で挫折してしまうこともあります。
この記事ではーー
- FIREの目標金額の正しい考え方
- 資産計算の基本ルール「年間支出 × 25倍」の意味
- 生活スタイル別・FIREタイプ別のシミュレーション
- 注意すべき落とし穴とライフイベントの想定
などを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
ぜひ、あなた自身の「FIREまでにいくら必要か?」を具体的にイメージする参考にしてください。
FIREを実現するために「目標金額」が重要な理由

目標がないと、FIREは「ただの夢」に終わる
FIREを目指すと言っても、「なんとなくお金が欲しい」では、いつまでに、いくら必要かが分からず、具体的な行動に結びつきません。
「目標金額」があることで、
- 毎月いくら貯めればいいか
- いつ頃FIREできそうか
- 投資や副業の必要性
などが明確になり、現実的な戦略を立てられるようになります。
必要な金額を知れば、不安や焦りも減らせる
「FIREには1億円必要」という情報を見て、絶望感を覚えた人も多いのではないでしょうか。
でも実際には、生活費やFIREのタイプによって、必要資産額はもっと低くても成立します。 たとえば、支出が月15万円の人であれば、3000万円台でもサイドFIREが可能です。
必要な金額を正しく知ることで、無駄に焦らず、自分に合ったペースでFIREを目指せるようになります。
“人と比べないFIRE”の第一歩にもなる
他人と比べて「自分はまだ全然足りない」と思ってしまうのは、FIREにおいてよくある落とし穴です。
しかし、FIREの目標金額は「その人の生活費×年数」から導き出されるため、他人と比較する意味はありません。
自分にとって必要な金額を把握することこそが、焦らず、堅実にFIREを目指すための第一歩なのです。
FIREに必要な資産額の計算式|基本は「年間支出 × 25倍」

4%ルールとは?|FIRE界の定番指標
FIRE界でよく使われるのが、「年間支出 × 25倍」という計算式です。
これは、トリニティ・スタディという米国の研究をもとに導き出された「4%ルール」に基づいています。
参考:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
簡単に言うと、資産の4%までであれば毎年取り崩しても、理論上30年間は資産が枯渇しないという考え方です。
つまり、
- 年間支出200万円 → 必要資産額は 200万円 × 25倍 = 5,000万円
- 年間支出150万円 → 150万円 × 25倍 = 3,750万円
この計算式は、「完全FIRE(=働かずに生活費すべてを投資資産で賄う)」を前提としています。
生活スタイル別|目標金額シミュレーション
目標金額は、あなたの「理想の生活スタイル」によって変わります。
生活タイプ | 年間支出の目安 | 必要資産額(×25倍) |
---|---|---|
ミニマリスト型 | 150万円 | 3,750万円 |
標準型 | 240万円 | 6,000万円 |
ゆとり型 | 360万円 | 9,000万円 |
このように、生活費をどう設計するかによって、必要な資産額は大きく変わります。
「節約=我慢」ではなく、「価値のある支出を残して最適化する」ことが、FIRE成功のカギです。
次章では、FIREのタイプ(完全FIRE/サイドFIRE/リーンFIREなど)によって、さらにどのように目標金額が変わるかを解説します。
FIREの種類によって目標金額は変わる

一口に「FIRE」と言っても、実はいくつかのスタイルが存在し、それぞれに必要な金額が大きく異なります。
自分に合ったFIREの形を選ぶことで、現実的な目標設定ができるようになります。
完全FIRE|生活費すべてを資産でまかなうスタイル
もっともスタンダードなFIREの形。
一切働かず、生活費のすべてを投資資産からの運用益でカバーします。
例:年間支出が240万円 → 必要資産 240万円 × 25倍 = 6,000万円
完全FIREは「安心感が高い」反面、目標額が大きくなるため、達成までに時間がかかるのがデメリットです。
サイドFIRE|生活費の一部を労働収入で補う
サイドFIREとは、生活費の半分〜一部を投資収入で、残りを副業やパートで稼ぐスタイルです。
例:月12万円必要 → 月6万円は投資収入、残り6万円は副業 → 必要資産:6万円 × 12ヶ月 × 25倍 = 1,800万円
投資資産が少なくてもFIRE可能なので、30代・40代でも手が届きやすい選択肢として注目されています。

僕がサイドFIRE組ということもあって、おすすめはサイドFIREです。
人によるかもしれませんが、退職してから何もしないのは、意外と苦痛です。何かしらやりがいがあった方がいいので、やりがいが収入につながれば、ベストです。
リーンFIRE・ファットFIRE|生活の質によって分かれる
- リーンFIRE:最低限の生活費でリタイアを目指す(年間支出100〜150万円)
- ファットFIRE:余裕ある生活を維持しながらリタイア(年間支出300万円以上)
たとえばリーンFIREなら、必要資産額は2,500万〜3,500万円程度。
一方でファットFIREを目指すなら、1億円近い資産が必要な場合もあります。
どのFIREを選ぶかで、目標金額の現実味も大きく変わってきます。
「早くFIREしたい」人ほど、サイドFIREやリーンFIREが現実的な選択肢になるでしょう。
目標金額の落とし穴と注意点


「年間支出×25倍」でFIREの目標金額は計算できますが、その数字をそのまま鵜呑みにするのは危険です。
ここでは、目標金額を設定する際によくある落とし穴と、注意すべきポイントを解説します。
インフレや税金の影響を見落としている
たとえば現在の年間支出が240万円であっても、10年後・20年後には物価が上がり、同じ水準の生活を維持するにはもっと多くのお金が必要になる可能性があります。
また、投資による運用益には税金(約20%)がかかることも忘れてはいけません。
例:投資収益が年間100万円 → 実際の手取りは約80万円に
「25倍ルール」はあくまで“ざっくりした目安”であり、税・物価変動も考慮して多少余裕を持った目標設定が必要です。
ライフイベントや突発的支出を想定していない
FIRE後も人生は続きます。以下のような支出も加味しておきましょう。
- 家の修繕・住み替え
- 親の介護・医療費
- 結婚・子どもの教育費
- 予期せぬ災害・事故
このような“臨時支出”に備えて、「生活費×25倍」+生活防衛費(1〜2年分)を用意しておくと安心です。
「働かない前提」で計算してしまう
FIRE=完全に働かなくなる、と思い込むのもよくある誤解です。
実際には、多くのFIRE達成者がーー
- 趣味やスキルを活かした副業
- 週2〜3回のパートや業務委託
などで生活費の一部を労働収入でカバーしながらFIREを継続しています。
「多少働くことを前提にすれば、目標資産はもっと現実的に設計できる」という柔軟な視点も大切です。
自分だけのFIRE金額を設計する3ステップ


ここまで読んできて、「自分はいくら必要なのか?」と気になった方も多いはず。
以下の3ステップで、あなただけのFIRE目標金額を設計してみましょう。
1. 現在の年間支出を正確に把握する
まずは、今どれだけお金を使っているかを洗い出しましょう。 家計簿アプリ(例:マネーフォワードME)を使えば、1〜2ヶ月の支出傾向は簡単に可視化できます。
ポイントは、「最低限の生活費」ではなく自分が快適に暮らせる支出ラインをベースにすることです。
例:月20万円なら → 年間支出240万円
2. FIRE後の理想の生活スタイルをイメージする
FIRE後、どんな生活を送りたいかによって必要資産は変わります。
- 完全FIREを目指すのか?
- 副業やパートで月にいくら働くか?
- 都会に住み続けるのか?地方移住を考えるのか?
これらを想像しながら、「FIRE後に必要な年間支出」を設定しましょう。
ここを現実的にすることで、無理のないFIREプランが見えてきます。
3. 「年間支出 × 25倍」で目標金額を算出する
最後に、FIRE界で基本とされる「4%ルール」に従って、年間支出に25を掛けて必要資産額を算出します。
例
- 完全FIRE希望 → 年間支出240万円 × 25 = 6,000万円
- サイドFIRE希望(月6万円副業) → 資産で月10万円 → 120万円 × 25 = 3,000万円
あくまで目安ですが、この数字が「あなたのFIREに必要なお金の正体」です。
ただし、25倍ルールは、資産を投資にまわして4%ずつ取り崩していけば資産が減らないという意味なので、投資にまわせる資産額という認識をもっていてください。
もしものときの生活防衛資金は別途確保しておくべきだと思います。
そのうえで、必要な金額が分かれば、貯金や投資、収入アップの計画もグッと立てやすくなります。
まとめ|「いくら必要か?」は人それぞれ。まずは現実的な数字を出そう
FIREを目指すうえで「いくら必要なのか?」という問いに明確な答えを出すことは、スタート地点として非常に重要です。
この記事ではーー
- FIREに必要な目標金額の考え方
- 「年間支出 × 25倍」の計算式と4%ルール
- 生活スタイルやFIREの種類による金額の違い
- 目標設定時の注意点(インフレ・税金・ライフイベント)
- 自分に合った目標金額を導き出す3ステップ
を紹介してきました。
FIREに必要な金額は、他人と比較して決めるものではありません。
あなたのライフスタイル、価値観、働き方によって、適切な数字は変わります。
まずは現状の支出を正確に把握し、「どんな暮らしをしたいか」をじっくり考えてみましょう。
そして、計算した目標金額をもとに、少しずつFIREへの道筋を描いていくことが何より大切です。
焦らず、無理せず、あなたらしいペースでFIREを目指していきましょう。