「50歳でFIRE(早期リタイア)なんて、本当にできるの?」
そんな疑問を抱く方も多いと思いますが、実は50歳という年齢はFIREを現実的に狙えるタイミングのひとつです。
とはいえ、FIREには多くの準備と明確な資金計画が必要不可欠。独身なのか、配偶者がいるのかによっても、必要な生活費や資産額は大きく変わります。
この記事では、50歳FIREの実現性を検証しながら、必要な資金・サイドFIREの考え方・成功のための準備について具体的に解説していきます。
FIREとは?50歳での達成は現実的なのか
FIREとは、Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)の略で、一定の資産を築くことで、働かなくても生活できる状態を指します。
FIREは「20代・30代での早期リタイア」をイメージしがちですが、実際には40代後半〜50代でのFIREを目指す人の方が多いのが現実です。
特に50歳でFIREを目指す場合は、以下のような現実的な利点があります。
- 子育て・住宅ローンの区切りがついているケースが多い
- 年金受給までの期間が比較的短く、資金計画が立てやすい
- 資産運用や副業など、一定の経験・知識を積んでいる世代
一方で、定年まであと10年というタイミングでFIREに踏み切るのは勇気がいるのも事実です。
そのため、FIREには「フルFIRE(完全リタイア)」と「サイドFIRE(軽く働きながら生活費の一部を賄う)」の選択肢があり、自分に合ったスタイルを見極めることが重要になります。
次のパートでは、独身・配偶者ありの場合で、どのような生活スタイルや支出になるのかを想定してみましょう。
【前提条件】独身と配偶者ありで想定する生活スタイルの違い

FIREの必要資金を試算するには、まず「どんな生活を想定するか」を明確にする必要があります。
今回は、50歳時点でFIREを目指すにあたり、以下の2つのケースで生活スタイルを想定します。
- ケース①:独身
一人暮らしで慎ましく生活。趣味や交際費にある程度の余裕は持たせたい。 - ケース②:配偶者あり(配偶者は無職)
夫婦2人で生活。世帯としての支出が増える一方、住居費や光熱費はシェアできる。
生活スタイルに応じて支出は大きく変わる
独身であれば、食費や日用品などを最小限に抑えることができる一方、生活のすべてを一人でまかなう負担もあります。
一方、配偶者ありのケースでは、支出は2人分になるものの、光熱費・家賃・通信費などの固定費は一定程度シェアできます。また収入も2人分あるようなら、かなり強力です。
共通して想定する前提条件
どちらのケースも、以下のような前提で生活費を算出していきます。
- 持ち家 or 家賃8万円程度の賃貸(地方都市想定)
- 自動車保有1台(軽自動車またはコンパクトカー)
- 外食は週1〜2回、旅行は年1回程度
- 健康保険・国民年金は自己負担
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このような前提をもとに、次のパートでは月々の生活費を具体的に試算していきます。
1ヶ月の生活費を試算|住居費・食費・保険・娯楽など
FIREに必要な資金を考えるうえで、最も重要なのが毎月の生活費です。
ここでは、先ほどの前提条件に基づき、「独身」と「配偶者あり」の2ケースで月々の支出を試算してみます。
ケース①:独身(単身世帯)の生活費目安
項目 | 金額(円) |
---|---|
住居費(家賃または住宅維持費) | 80,000 |
食費 | 30,000 |
光熱費・通信費 | 15,000 |
健康保険・年金 | 30,000 |
日用品・雑費 | 10,000 |
交際費・娯楽費 | 20,000 |
自動車関連(維持費・ガソリン) | 15,000 |
合計 | 200,000 |
ケース②:配偶者あり(2人暮らし)の生活費目安
項目 | 金額(円) |
---|---|
住居費 | 80,000 |
食費(2人分) | 50,000 |
光熱費・通信費 | 20,000 |
健康保険・年金(2人分) | 60,000 |
日用品・雑費 | 15,000 |
交際費・娯楽費 | 30,000 |
自動車関連 | 20,000 |
合計 | 275,000 |
上記はあくまで目安ですが、地方都市で質素に暮らすことを前提にした場合、独身なら月20万円、夫婦で月27.5万円程度がひとつのモデルケースになります。
修行僧のような生活ではないものの、それでもそこそこ質素な生活かもしれません。
この金額をもとに、次のパートでは「FIREに必要な資金総額」を算出していきます。
必要なFIRE資金はいくら?|フルFIREとサイドFIREの違い

生活費の目安が見えたら、次はFIREに必要な資産額を具体的に考えていきましょう。
FIREにはいくつかスタイルがあります。主に以下の2つのスタイルで比較してみましょう。
- フルFIRE:生活費のすべてを資産運用でまかない、一切働かない
- サイドFIRE:資産からの収益+軽い労働(副業・パート)で生活費を補う
当然ながら、フルFIREにはより多くの資金が必要で、サイドFIREは必要資金を抑えられる分、自由度も少し下がります。
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FIRE資金の試算方法|4%ルールをもとに算出
FIRE界隈でよく使われるのが「4%ルール」。これは年間支出の25倍の資産があれば、年4%の利回りで資産を減らさずに生活できるという考え方です。
ここでは、50歳でFIREし、90歳までの40年間を想定して試算します。
▼独身・フルFIREの場合(月20万円)
年間支出:20万円 × 12ヶ月 = 240万円
必要資産:240万円 × 25倍 = 6,000万円
▼独身・サイドFIRE(月10万円を副収入で補う)
運用でまかなう支出:10万円 × 12ヶ月 = 120万円
必要資産:120万円 × 25倍 = 3,000万円
▼配偶者あり・フルFIRE(月27.5万円)
年間支出:27.5万円 × 12ヶ月 = 330万円
必要資産:330万円 × 25倍 = 8,250万円
▼配偶者あり・サイドFIRE(月15万円を副収入で補う)
運用でまかなう支出:12.5万円 × 12ヶ月 = 150万円
必要資産:150万円 × 25倍 = 3,750万円
このように、サイドFIREであれば必要資金を大幅に抑えることができ、より現実的なFIREプランが描けます。
次のパートでは、ここで試算した数値をもとに、独身・配偶者ありのケースごとのFIRE戦略をさらに深掘りしていきます。
【ケース比較】独身 vs 配偶者ありのFIRE必要資金
ここでは、これまで試算してきたデータをもとに、独身・配偶者ありのFIRE必要資金を比較してみましょう。
フルFIREの必要資金比較
条件 | 月の生活費 | 年間支出 | 必要資産(25倍) |
---|---|---|---|
独身 | 20万円 | 240万円 | 6,000万円 |
配偶者あり | 27.5万円 | 330万円 | 8,250万円 |
サイドFIRE(副収入10万〜15万円)の場合
条件 | 副収入でまかなう生活費 | 年間支出 | 必要資産(25倍) |
---|---|---|---|
独身 | 10万円 | 120万円 | 3,000万円 |
配偶者あり | 12.5万円 | 150万円 | 3,750万円 |
夫婦でも工夫次第でFIREは可能
一見すると「配偶者がいるとハードルが高い」と思われがちですが、住居費・光熱費・自動車費用などをシェアできるため、工夫次第ではコストパフォーマンスは良くなります。
さらに、夫婦2人で月10万円ずつの副収入を得るだけでも、必要資産は大きく下がります。
どのようなFIREスタイルを選ぶにせよ、自分のライフスタイルに合った資金計画を立てることが最も重要です。
次のパートでは、50歳でFIREすることのメリットとデメリットを整理してみましょう。
50歳FIREのメリットとデメリット
50歳でFIREを実現することは、資金計画と生活設計さえしっかりしていれば決して夢ではありません。
ここでは、50歳でFIREを目指すことのメリットとデメリットを整理しておきましょう。
50歳FIREのメリット
- 残りの人生を自分のために使える:健康寿命のうちに自由な時間を確保できる
- 会社の人間関係やストレスから解放:心身の負担が大きく減る
- 好きな仕事・活動に時間を使える:副業・趣味・地域活動などに挑戦可能
- 年金受給までの期間が短く、設計しやすい:20代FIREに比べて資産寿命の計算が現実的
50歳FIREのデメリット
- FIREに失敗すると復帰は困難:50歳からの転職は難しいので、以前の生活には戻りにくい
- 吸収力が落ちている:自由な時間を新しいことにチャレンジしたいが、以前ほどの吸収力はなく、時間がかかる
FIREはゴールではなく、新しい人生のスタートです。
50歳でのFIREは、現実的でありながらも戦略的な準備が求められます。
次のパートでは、この記事のまとめとして「50歳FIREに向けて今からできること」をご紹介します。
まとめ|50歳でFIREするために今からすべきこと
50歳でFIREを実現するには、早いうちからの資産形成と、現実的なライフプランの設計が不可欠です。
独身か夫婦か、フルFIREかサイドFIREかによって必要な資金は変わりますが、共通して言えるのは、「自分の生活費を正しく把握すること」がスタート地点だということです。
そのうえで、以下のような準備をしておくと、FIRE達成の現実味がグッと増します。
- 毎月の支出を見直し、生活費を把握する
- 収入の一部を投資に回し、複利効果を活かす
- 老後資金と年金受給開始年齢を前提に計画を立てる
- 必要に応じて副業・スキル習得などでサイドFIREも視野に
FIREは「自由と引き換えに不安を抱える生き方」と思われがちですが、しっかりと準備をすれば、人生の可能性を大きく広げる選択肢でもあります。
50歳からのFIREは、決して早すぎず、遅すぎない。
あなたの人生を無理なく再設計するのに、いちばんちょうどいいタイミングかもしれません。
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