FIRE(経済的自立・早期リタイア)を目指す上で、「節約」や「資産運用」の重要性はよく語られます。
しかし、それ以上に土台となるのが「収入を増やすこと」です。
いくら節約しても、もとの収入が低ければ投資に回せるお金も限られ、FIREの達成は遠のいてしまいます。
この記事では、FIRE達成のための「収入アップ」に焦点を当て、
- 現在の職場でキャリアアップする
- 転職で年収を引き上げる
- 副業で複数の収入源を持つ
という3つの方法について、それぞれのメリット・注意点を解説します。
なぜFIREには収入アップが欠かせないのか?

節約だけでは限界がある
FIREを語るうえで「節約」は必ず出てくるキーワードですが、月数万円の支出を削ることには限界があります。
一方で、収入を上げることができれば、生活レベルを変えずに投資や貯蓄に回す金額を増やせるため、FIRE達成までのスピードが大きく変わってきます。
収入が増えれば「時間を買う」選択肢も増える
高収入であれば、時短家電・外注・交通手段の最適化など、「自分の時間をお金で取り戻す」選択がしやすくなります。
FIRE後の生活は「時間の使い方」が人生の満足度を左右しますが、その前段階でも、時間に投資できる人はFIRE達成にも近づきやすいのです。
「労働の質」を高めることがFIRE後の自立にもつながる
収入を上げる努力の過程で得られるスキルや実績は、FIRE後にも活きます。
たとえばーー
- 副業やフリーランスで仕事を受ける力
- 自分の市場価値を知り、交渉力を持つ力
- 新しい働き方を模索する柔軟性
FIREは「労働からの逃避」ではなく、「労働を選べる状態を作ること」。
そのためにも、まずは“稼ぐ力”を強化しておくことが近道です。
① 今の職場でキャリアアップする

最短で年収アップを実現できる可能性がある
FIREを目指すにあたって、もっとも即効性があるのが今の職場での昇給・昇進です。
転職や副業と違い、すでに慣れた環境で評価されていくため、余計な労力なく収入を増やせる可能性があるのがメリット。
たとえば、以下のような手段があります。
- 上位職への昇進(役職手当+基本給UP)
- 資格取得による手当加算
- 部署異動による評価制度の見直し
「昇給は数千円程度」と感じている方でも、役職や職務の変更によって、年収が一気に50~100万円アップするケースも十分にあります。
社内キャリアアップは“最も低リスク”の収入戦略
FIREはリスク管理が重要です。
その点、社内での昇進やスキルアップは、収入を増やすうえでリスクが低い手段です。
- 職場環境に慣れている
- 人間関係を維持できる
- 働き方を大きく変えずに済む
これらは、転職や副業では得られにくい安定性です。
特に「数年以内にFIREを狙っている」人にとっては、収入を引き上げて資産形成のラストスパートをかける手段として有効です。
ただし、昇進=自由が減る可能性には注意
一方で、役職がつくことで残業や責任が増える、メンタル的に疲弊するという声もあります。
FIRE志向の人にとっては、「時間の自由」「心の余裕」も重要な要素。
昇進を選ぶ際は、収入アップと引き換えに失うものはないかをよく考える必要があります。
もし「上を目指すのはしんどい」と感じるなら、次の選択肢である転職や副業に目を向けてみましょう。

言わずもがなですが、「ブラック企業」や「ゆるブラック企業」だと、明るい未来は見いだせないので、いくら収入がよくても、見切りをつけた方がいいです。
② 転職で収入を上げる


転職は収入アップの“最短ルート”になることも
今の職場で昇給を待つよりも、転職によって一気に年収が上がるケースは少なくありません。
たとえば同じ業務内容でも、
- 企業規模が大きくなる
- 業界が変わる(例:小売→IT、介護→医療系事務)
- 評価制度が明確な会社に移る
これらの違いだけで、年収が50万円〜100万円以上アップすることも珍しくありません。
特に、年収が頭打ちになっている30代後半〜40代の方にとって、転職は「一番手っ取り早くFIRE資金を増やせる手段」になり得ます。
転職活動はノーリスク。市場価値を知るだけでも価値がある
多くの人が「転職=辞める前提」と考えがちですが、実際に転職しなくても、転職活動をすることには大きな意味があります。
転職エージェントに登録し、自分の職務経歴やスキルを提示すれば、
- どんな企業が興味を持つのか
- 自分の市場価値(想定年収や評価ポイント)
- 世の中にどんな働き方があるか
が見えてきます。
これは「現在の会社に残る」選択をする上でも、非常に有益な情報です。 市場を知らないまま「今の会社しかない」と思い込んでいると、FIRE以前に人生の選択肢を狭めてしまいます。
自分の市場価値を知って、現在の職場がそれ以上だったら、人材に投資している企業と言えるでしょうから、明るい未来も見えてきそうです。逆に、市場価値より低く扱われているとしたら、交渉したり、転職したりといった行動に出ることを判断すればいいです。
転職活動は“無料でできる自己分析ツール”でもある
転職サイトやエージェントのプロフィール登録や面談を通じて、自分のスキル・経験を言語化することができます。
このプロセスは、副業やFIRE後の仕事選びにも役立つ貴重な「棚卸し」です。
「どうせ転職しないし……」と思わずに、“転職活動だけ”をしておくことがFIREの下地になると捉えておきましょう。
③ 副業で収入源を増やす


副業は“FIRE後”にも活かせる収入源
FIREを目指すなら、副業は単なるお小遣い稼ぎではなく、人生を自由にデザインするための武器です。
FIRE後に「完全リタイア」ではなく「少し働きながら暮らす」スタイルを考えているなら、今のうちに副業を始めておくことが将来の保険になります。
たとえば月5万円の副業収入があれば、生活費の一部をまかなうことができ、FIREに必要な資産額を数百万円単位で減らすことも可能です。



月5万円の収入があるだけで、
年間60万円×25倍(資産運用益4%と考えた場合)=1500万円
の資産価値があることと同じです。
1500万円の資産を築くよりも、月5万円の収入が生み出す方が、早いですよね。
そう考えると、副収入を生み出す仕組みを作るのはFIREを目指すうえで、非常に強力です。
初心者でも始めやすい副業の例
副業というと「スキルがないと無理」と思われがちですが、初期投資ゼロ・経験ゼロでも始められる副業も多数あります。
- クラウドワークス・ランサーズ:ライティング・アンケートなどからスタート可能
- ブログ運営:FIRE体験や趣味を発信しながら広告収入を得る
- スキルシェア(ココナラ・タイムチケット):イラスト・相談・資料作成など
- せどり・フリマ販売:メルカリで不用品販売からスタートしてもOK
最初の収入が少なくても、「自分で稼ぐ感覚」を身につけること自体に大きな意味があります。
会社にバレない副業・税金まわりの注意点
副業を始める前に気になるのが「会社にバレないか?」という点。
最近では副業を認めている企業も増えてきていますが、世の中の流れをアップデートできていない企業がまだまだあるのも確かです。
基本的に、会社バレの原因は以下のいずれかです。
- 住民税の通知(副業分の住民税が給与と合算されてしまう)
- 社内での発言・SNSでの情報発信
対策としてはーー
- 確定申告時に「住民税は自分で納付」にチェックする
- 副業名義を個人名と切り離す
- 会社の就業規則を事前に確認しておく
また、副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
帳簿をつけておく・必要経費を把握しておくなど、最低限の税知識は身につけておきましょう。
まとめ|自分に合った「収入アップの一手」から動き出そう
FIREを目指すうえで、最初に注力すべきなのが「収入を増やすこと」です。
いくら節約や投資の知識があっても、元手となる収入がなければ、資産形成は進みません。 だからこそ、まずは自分に合った方法で収入アップの一歩を踏み出すことが大切です。
この記事では、以下の3つの選択肢を紹介しました。
① 今の職場でキャリアアップする:もっとも安定・即効性が高い方法
② 転職で収入を上げる:思いがけない年収アップのチャンスが眠っている
③ 副業で収入源を増やす:FIRE後にも活かせる“自分で稼ぐ力”を育てる
いずれもメリット・デメリットがあり、万人に同じ正解はありません。
ですが、どの方法にも共通しているのは「行動を起こせば、選択肢が広がる」ということです。
FIREは「逃げ」ではなく、「人生の主導権を取り戻すための挑戦」です。
その第一歩として、今の自分にできる「収入アップのアクション」を選び、動き出してみましょう。