「地震保険って本当に必要なの?」
FIRE(経済的自立と早期退職)を目指して家計を見直していると、保険の支出が気になってくる方も多いのではないでしょうか。中でも「地震保険」は、掛け金の割に補償が少ないと感じている人も多く、「いらない」という声もちらほら見かけます。
この記事では、地震保険の仕組みや「いらない」と言われる理由をわかりやすく解説しながら、FIRE的な視点での賢い選択を考えていきます。支出を抑えつつも、将来のリスクにはきちんと備えておきたい…そんなあなたに向けた内容です。
まずは、地震保険の基本から見ていきましょう。
地震保険って入らなきゃダメ?|そもそもの仕組みと誤解

まず押さえておきたいのは、地震保険は任意加入の保険だということ。加入は義務ではありません。つまり、自分の判断で「入る・入らない」を選べる保険なのです。
ただし、単独で加入することはできず、火災保険とセットで加入する必要があります。火災保険の契約時に「地震保険もつけておきますか?」と聞かれた方も多いのではないでしょうか。
ここでよくある誤解が、「火災保険で地震による火災もカバーされている」と思ってしまうこと。実はこれは間違いで、火災保険は地震が原因の火災には一切補償しないというルールになっています。
つまり、地震・噴火・津波が原因で、
- 家が倒壊した
- 家具や壁が破損した
- 地震後の火災で家が焼けた
といった場合には、地震保険に入っていなければ1円も支払われないのが基本です。
補償内容も特徴的で、火災保険の補償額の最大50%までしか支払われません。たとえば、火災保険で2,000万円の補償をかけていても、地震保険では最大1,000万円の補償にとどまるのです。
こうした制限の多さが、「地震保険って本当に必要?」という疑問を生む一因になっています。
次のパートでは、なぜ「いらない」と感じる人が多いのかについて、3つの代表的な理由を解説していきます。
なぜ「いらない」と言われるのか?|3つの代表的な理由

地震大国・日本に住んでいながらも、「地震保険には入っていない」「いらないと思っている」という人は少なくありません。その背景には、次のような理由があります。
1. 補償額が少なくて割高に感じる
地震保険は火災保険と比べて、補償が限定的です。たとえば、全壊でも支払われるのは火災保険の50%が上限。さらに、損害の程度によって定額で支給されるため、「実費で再建できるとは限らない」のが現実です。
加えて、保険料も地域や建物の構造によってはかなり高額になることがあり、「高い割に、もらえる金額が少ない」という不満につながっています。

そもそも地震保険は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で設定しないといけないので、最大でも半分しか支払われないのは契約時に決まっていることなんです。
そのうえで「全損」「半損(大半損・小半損)」「一部損」で支払われる内容も変わってくることも考慮すると、割高に感じるケースも少なくないです。
2. 地震火災も火災保険でカバーされていると誤解している
多くの人が、「火災保険があれば火災は全部カバーされる」と思いがちですが、地震が原因の火災は地震保険がなければ補償されません。
この誤解によって、「もう火災保険に入ってるから大丈夫でしょ」と地震保険に未加入のままになっているケースが多く見られます。



怖いものの代表例として、地震・雷・火事・オヤジ……なんてことが言われていましたが、やはり「地震」は一番に来るほど巨大で、怖いものなんですね。
火事の場合は延焼しても範囲が限定される場合がほとんどですが、地震は一気に広範囲に損害を与えるので、リスク度が全然違います。
3. 被災リスクは地域によって大きく異なる
たとえば、南海トラフ地震が想定されている地域と、地震発生が少ない内陸部では、当然ながらリスクは大きく違います。リスクが低い地域に住んでいる人にとっては、「毎年保険料を払うより、自分で備えたほうが得」と感じるのも無理はありません。
また、過去の地震でまったく被害がなかった地域に住んでいると、「うちは大丈夫」と油断しがちです。とはいえ、どんな地域でも100%安全とは言い切れないのが地震の怖さでもあります。



ここまでで、地震保険が「いらない」と感じられる背景が少し見えてきたんじゃないでしょうか。
次のパートでは、FIRE的な視点で保険の代わりに“貯蓄”という備え方が有効なケースについて見ていきましょう。
FIRE的視点で考える|保険より貯蓄が有利なケースとは


FIRE(経済的自立と早期退職)を目指す人にとって、保険料の支出は“投資の機会損失”にもつながります。とはいえ、万が一のリスクに無防備でいるわけにもいきません。
そこで注目したいのが、「保険に頼らず、自分で備える」という選択肢です。地震保険に入る代わりに、その分を積み立てておくことで、柔軟なリスク対応が可能になります。
保険より貯蓄が有利とされるケース
- 住宅ローンを完済済みで、家の再建に急を要さない
- 築年数が古く、地震保険料が割高である
- 現金や流動資産で数百万円の余裕資金がある
- 賃貸住宅に住んでいて、建物の損壊リスクを負っていない
こうした条件に当てはまる場合は、地震保険の代わりに「セルフ保険」=貯蓄で備えるほうが合理的なこともあります。
月々の保険料を投資・備蓄に回すという考え方
たとえば、年間2万円の地震保険料を10年間積み立てれば、20万円の備えになります。その間に被災しなければ、手元資金として残りますし、投資に回せばさらに資産が増える可能性もあります。
さらに、非常時用の備蓄や一時避難の費用などに活用すれば、「現実的なリスク対策」にもつながります。
ただし“自己責任”であることを忘れずに
この方法はあくまで、「ある程度の自己資金がある人」向けの考え方です。万が一のときに再建できないレベルの資産しかない場合は、保険による支えが必要になることもあります。
次のパートでは、逆に地震保険に入っておいたほうがいいケースについて具体的に見ていきます。
逆に「入っておいた方がいい」人とは?|地震保険が有効なケース


ここまで「地震保険はいらない」という視点から見てきましたが、すべての人にとって不要とは限りません。むしろ、状況によっては「入っておくべき」ケースも存在します。
FIRE志向であっても、次のような人には地震保険が“最後のセーフティネット”として有効になり得ます。
住宅ローン返済中の人
地震で住まいが全壊しても、住宅ローンは残ったままです。再建費用とローン返済がダブルでのしかかるリスクがあるため、最低限の補償でも家計の防波堤となる地震保険の価値は高くなります。
高リスク地域に住んでいる人
南海トラフ、首都直下型など、大地震が予測されている地域に住んでいる場合、被災の確率が明らかに高いとされています。そうした地域では、保険料は割高でもリスクとのバランスで考えると加入の意義が大きくなるでしょう。
自己資金での再建が難しい人
数百万円単位の貯蓄がなく、再建費用をすぐに用意できない人にとって、地震保険は生活再建の「足がかり」になります。特に、仕事をしていない期間(FIRE初期など)には、収入のない状態での復旧は大きな負担です。
賃貸でも家財に補償が必要な人
賃貸だからといって無関係ではありません。地震保険は「家財」だけでも契約可能で、家具や電化製品が地震で壊れた場合の補償になります。生活再建のスピードを左右する場面もあるため、必要な場合は検討しておきたいところです。
このように、保険は「安心を買う」という考え方もできます。家計に無理のない範囲で、必要な部分だけ加入するという柔軟な判断が求められます。
最後のパートでは、「いらない」「必要」だけで片付けず、自分にとっての最適解をどう考えるかをまとめていきます。
結論|“いらない”は正解ではなく、“自分に必要か”を考えよう


「地震保険はいらない」と言い切るのは簡単ですが、それがすべての人に当てはまる“正解”ではありません。
FIREを目指す上で大切なのは、限られた資金をどう使うかを戦略的に判断することです。地震保険もまた、その選択のひとつにすぎません。
保険を見直すことも「支出最適化」になる
加入中の保険を見直すことは、家計改善の王道です。「とりあえず入っておいたほうが安心」といった感情的な判断ではなく、次の視点などから検討すべきです。
- 本当に補償が必要なのか?
- 地震保険でカバーできる範囲は自分に合っているか?
- 代わりに自助努力で備えられるか?
自分で考えて判断することで、支出の最適化と安心のバランスがとれるようになります。
FIRE達成後も続く「リスク管理」の考え方
FIREはゴールではなく、新しい生活のスタートです。経済的に自由になっても、自然災害などのリスクからは逃れられません。
その中で、自分にとって何が必要で、何が不要かを取捨選択する力こそが、FIRE後の生活の安定を左右します。
地震保険もそのひとつ。「なんとなく加入」「なんとなく外す」ではなく、ライフスタイルと資産状況に応じた判断をしていきましょう。
最後に、地震保険を見直す際のチェックリストや、保険料の比較方法についても解説していきます。
まとめ|地震保険は「なんとなく」ではなく「戦略的に」判断を
この記事では、「地震保険はいらない」という意見の背景を解説しながら、FIRE的視点で必要性を見直すポイントを整理してきました。
もう一度、重要なポイントを振り返ってみましょう。
- 地震保険は任意加入であり、火災保険とセットでの契約が必要
- 「いらない」と言われる理由には、補償の少なさ・誤解・地域差がある
- FIRE志向の人は、貯蓄や自助努力で備える選択もありうる
- 逆に、ローン返済中・高リスク地域・自己資金が少ない場合は加入が有効
- 最終的には、自分のライフスタイルと資産状況に合わせた戦略的判断が大切
次にやるべきことは?
もし現在地震保険に加入しているなら、以下のような点をチェックしてみましょう。
- 補償内容は自分の生活や住居に合っているか?
- 補償額と保険料のバランスは適正か?
- そもそも自分の生活において必要か?
家計の固定費を見直す中で、保険の見直しは重要なパートです。
支出を抑えながら、いざという時の備えも怠らない…そんなバランスのとれたFIRE生活を目指していきましょう。