「S&P500とオルカン、どっちを選べばいいの?」
投資信託を始めようとしたとき、必ず耳にする2つの人気ファンド。
アメリカの主要企業に集中投資する「S&P500」と、全世界に分散投資できる「オールカントリー(オルカン)」。
どちらも長期投資に向いており、FIRE実践者にも選ばれている商品ですが、投資対象・リスク・リターン・為替の影響などに違いがあります。
この記事では、投資初心者がつまずきやすい「S&P500とオルカンの違い」を、やさしく比較解説。
あなたの目的や性格に合った「自分にベストな投資信託の選び方」が見つかるよう、
新NISAとの相性もふまえて丁寧に紹介していきます。
S&P500とオールカントリーとは?|どちらも人気の投資信託

新NISAや長期投資で注目されている投資信託の中でも、特に多くの投資家に選ばれているのが「S&P500」連動型ファンドと「オールカントリー(オルカン)」です。
まずは、それぞれのファンドがどんな特徴を持ち、なぜ人気なのかを見ていきましょう。
S&P500連動型ファンドとは?
S&P500は、アメリカの代表的な株価指数であり、AppleやGoogle、Amazonなど、アメリカの超大手企業500社で構成されています。
この指数に連動するファンド(例:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)など)は、アメリカ経済の成長をそのまま取り込めるという魅力があります。
- 構成銘柄:アメリカの上場企業500社
- 地域:米国のみ
- 特徴:米国の経済成長とイノベーションに乗れる
オールカントリー(オルカン)とは?
オールカントリーは、正式には「全世界株式インデックス」と呼ばれ、日本を含む先進国・新興国すべてを対象とした分散投資型ファンドです。
代表的なのは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)。通称「オルカン」として親しまれています。
- 構成銘柄:約50カ国以上・数千社以上
- 地域:全世界(アメリカ・日本・ヨーロッパ・中国など)
- 特徴:地域・業種のバランスがよく、長期分散に最適
どちらも初心者に人気の理由とは?
- 低コストで購入できる(信託報酬が0.1%前後)
- 1本で分散投資ができる
- 長期保有に適しており、FIRE実践者にも愛用されている
つまり、S&P500もオルカンも「これ1本でもOK」な完成度の高い投資信託という点で、初心者から上級者まで幅広く支持されているのです。
次のパートでは、投資対象となる「地域・分散性」の違いについて詳しく比較していきます。
投資先の違い|アメリカ集中 vs 全世界分散
S&P500とオルカンの最大の違いは、投資対象の地域の広さにあります。
S&P500は「アメリカ経済一点集中」
S&P500は、アメリカの主要企業に絞って投資するインデックスファンドです。
構成上位銘柄には、Apple、Microsoft、Google(Alphabet)、Amazonなど、世界経済を牽引するテクノロジー大手が多く含まれています。
- 米国企業500社で構成
- 米国経済の成長=資産の成長に直結
- 過去のリターンは非常に高水準(年平均7〜10%前後)
➡️ 「これからもアメリカ経済は伸びる」と信じる人には、非常に魅力的な投資先です。
オルカンは「世界中に分散」
オールカントリー(オルカン)は、アメリカ、日本、ヨーロッパ、中国など、世界中の株式市場にバランスよく投資するインデックスファンドです。
ただし、構成比の半分以上は結局アメリカ株が占めています。
- 先進国・新興国すべてが対象
- 日本や新興国の成長も取り込める
- どの国が伸びても恩恵がある「分散力」が強み
➡️ どの国が伸びるか予測できない未来に備える投資として人気です。
シンプルな違いまとめ
ファンド名 | 主な投資対象 | リスク分散の広さ |
---|---|---|
S&P500 | 米国(1カ国集中) | 中(米国一本で高リターン狙い) |
オールカントリー | 全世界(先進国+新興国) | 高(地域分散◎) |
「米国の成長を信じて集中投資」か、
「世界全体の成長に広く乗るか」。
この投資スタンスの違いが、S&P500とオルカンを選ぶ最大の分かれ道になります。
次のパートでは、両者のリスクやリターンの傾向を、データも交えて比較していきます。
リスク・リターンの傾向と過去実績
投資信託を選ぶ際には、単純な「リターン(増える率)」だけでなく、どれくらい価格が上下するか(リスク)も重要な判断基準になります。
ここでは、S&P500とオルカンの過去の運用実績や、値動きの傾向を比較してみましょう。
S&P500は「リターンが高いが値動きも大きめ」
S&P500は、アメリカ経済に集中している分、成長局面では爆発的なリターンを出しやすいという特徴があります。
- 過去10年の年平均リターン:約8〜10%
- コロナショックなどでは急落もあったが、その後の回復も早い
- テック企業比率が高く、好景気に強い
➡️ 短期間で大きく育てたい人や、アメリカ経済を信じる人に向いているファンドです。
オールカントリーは「リスク分散で安定志向」
オルカンは、世界中の株式に分散投資しているため、特定の地域のショックに強いというメリットがあります。
- 過去10年の年平均リターン:約6〜8%
- 新興国の比率があり、上昇の波はゆるやか
- 暴落時のダメージが比較的軽減される
➡️ 値動きの少なさ・安定感を重視したい人にはオルカンがおすすめです。
リスク・リターンの比較イメージ
指標 | S&P500 | オールカントリー |
---|---|---|
年平均リターン(過去10年) | 約8〜10% | 約6〜8% |
リスク(価格の変動幅) | やや大きい | 比較的マイルド |
暴落時の下落耐性 | 回復力は高いが下落も大きめ | 地域分散によりショック耐性あり |
もちろん、過去の成績が将来も同じとは限りませんが、ファンドごとの“性格の違い”を理解しておくことは大切です。
次のパートでは、為替や世界情勢など、外部要因の影響の受け方にも注目して比較していきます。
為替・経済情勢の影響を受けやすいのは?
どちらのファンドも海外資産に投資しているため、日本に住んでいる私たちにとっては「為替の影響」を避けることができません。
また、どの国・地域に投資しているかによって、世界経済や地政学リスクの影響の受け方も変わります。
S&P500は「米ドルの影響が大きい」
S&P500は米国株に100%投資する商品です。つまり、為替レートが米ドルと円の動きに大きく左右されます。
- 円安になると、為替差益で利益が増える
- 円高になると、せっかく株価が上がっても利益が減ることも
- アメリカの景気・金利政策・政治情勢の影響を強く受ける
➡️ アメリカ経済と米ドルの動向が自分の資産に直結するイメージです。
オールカントリーは「通貨・国リスクが分散」
オルカンは全世界に投資するため、米ドルだけでなくユーロ・円・新興国通貨などにも分散されています。
- 一国の為替変動や政策の影響を受けにくい
- アメリカ・ヨーロッパ・日本・中国などバランスよく投資
- その分、急激に伸びることは少ないが、安定感がある
➡️ 為替や政治的リスクを分散したい人にはオルカンが向いています。
為替影響をざっくり比較
ファンド名 | 通貨の影響 | リスク耐性 |
---|---|---|
S&P500 | 米ドルの影響が大きい | アメリカ依存度が高め |
オルカン | 複数通貨で分散 | 地域・通貨ともにリスク分散 |
まとめるとーー
- S&P500:米国集中ゆえに、成長性は高いが為替リスクが一点集中
- オルカン:通貨・地域を広くカバーするため、安定性を重視した投資に最適
次のパートでは、「新NISAではどちらを選ぶべきか?」という実践的な視点で、2つのファンドを比較していきます。
新NISAではどちらを選ぶべき?ライフプラン別おすすめ
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用して、最大1,800万円まで非課税で投資できます。
では、この新制度のもとで、S&P500とオルカンのどちらを選ぶべきか?
答えは、「あなたの性格やライフプラン次第」

【S&P500が向いている人】
- アメリカ経済の成長性を信じている
- 多少の値動きよりリターン重視
- 短中期で資産を大きく増やしたい
- シンプルなポートフォリオで集中投資したい
➡️ 将来の米国市場に期待して、攻めの姿勢で資産形成したい人にはぴったりです。
【オルカンが向いている人】
- 世界全体の成長を広く取り込みたい
- 投資先の偏りや為替リスクを避けたい
- 値動きがマイルドな方が安心
- 投資にあまり時間や神経を使いたくない
➡️ リスクを広く分散し、長くコツコツ積み立てたい人には最適です。
併用という選択肢もアリ
実は、どちらか1本に決めなくてもOK。S&P500とオルカンを併用することで、バランスの良いポートフォリオを作ることも可能です。
たとえばーー
- つみたて投資枠でオルカン → 安定の基盤づくり
- 成長投資枠でS&P500 → 米国成長を狙う追加投資
というように、新NISAの制度を活かしながら、自分だけの戦略的な組み合わせを組むこともできます。
次のパートでは、これまでの内容を振り返りながら、あなたに合った投資信託の選び方をまとめます。
まとめ|迷ったらこう選ぼう
S&P500とオールカントリー(オルカン)は、どちらも長期投資に適した人気のインデックスファンドです。
今回の記事では、以下のような観点から違いを比較しましたーー
- 投資対象の地域と分散性
- リスクとリターンの傾向
- 為替・経済情勢の影響
- 新NISAとの相性
どちらが「優れている」かではなく、あなたの投資スタイルや価値観に合っているかどうかが大切です。
迷ったときの選び方のヒント
- リターン重視・成長を信じる →S&P500
- 安定重視・分散したい → オルカン
- 決めきれない → 両方を併用してもOK!
まずは少額から始めて、自分の投資スタイルを探っていくことが何よりも大切です。
焦らず、ブレずに、コツコツと。
長期的な視点で、自分に合った資産形成を目指していきましょう。
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